最低資本金制度の撤廃|事業承継対策での利用|新会社法
株式譲渡制限会社の特典
「新会社法」で制定された「株式譲渡制限会社」と「公開会社」を整理すると、「株式譲渡制限会社」は発行する全ての株式に譲渡制限が付されている会社です。これに対し、「公開会社」とは、発行する全部または一部に譲渡制限が付されていない株式会社ということになります。
「新会社法」では、有限会社を廃止したことから、株式が自由に譲渡できない閉鎖的な「株式譲渡制限会社」には、定款において、下記のような事項を規定できるようになりました。
| 項目 | 特典 |
|---|---|
| 株式関係 | 1.株主不平等原則を容認 |
| 2.株主総会の議決権、配当、残余財産の分配等 | |
| 3.議決権制限株式が発行可能…上限の定めなく発行可能 | |
| 4.株券発行会社でも株主からの請求があるまで株券不発行が可能 | |
| 機関設計 | 1.取締役会は任意で設置(設置しない場合、取締役は1名でも良い) |
| 2.取締役会を設置しない場合、監査役の設置は任意 | |
| 3.取締役、監査役の任期を10年まで延長可能 | |
| 4.監査役の監査範囲は「会計監査」に限定 |
会社設立に関する見直し
◇最低資本金制度の撤廃
株式会社1,000万円、有限会社300万円の最低資本金制度は、創業促進の観点から、撤廃されました。
◇類似商号規制の撤廃
商業登記手続のうち、企業活動の広範化や登記手続の簡素化の要請により類似商号規制が廃止され、同時に類似の判断基準になっていた「会社の目的」についても記載基準が緩和されました。
◇払込保管証明書が不要に
発起設立により会社を設立する場合、資本金の払込みについては、銀行等による保管保証明書を不要とし、代わりに残高証明によれば足りることになりました。
◇現物出資等の手続きを簡素化
これまでは、現物出資や財産引受けによる出資は、検査役による検査が必要でした。改正後の「新会社法」では、次の場合には、検査役による検査を省略できます。
- 出資財産が少額である場合
- 出資財産が「取引所相場のある有価証券」を相場以下の価額で出資する場合
事業承継対策での利用について
これまでの「旧商法」の大原則であった「株主平等の原則」が撤廃され、定款で定めることにより、「株主(間)不平等の原則」が容認されたため、事業を承継する手段として活用する幅が拡大されました。例えば、下記のような事業承継に有効な株式を発行することが可能になりました。
◇議決権制限株式の発行が可能
事業の後継者以外は会社の重要な意思決定を行うことが出来ないよう、議決権制限株式を発行することが可能になりました。実際の会社の意思決定、業務執行を行う後継者が議決権のある株式を相続し、 会社の意思決定を行う相続人が配当権のみ付与された株式を相続するようなことが可能になりました。
◇議決権制限株式は上限なく発行可能
事業の後継者のみに議決権のある株式を相続させることが可能になりました。
◇売渡請求権を付与した株式発行も可能
事業暦の長い会社では、相続が重なることによって、本来意図していない者に株式を保有されることを防止するために、売渡請求権を付与した株式発行が有効です。




